手がかかった思い出ほど…

日常ホイホイ(雑記)


200707052310000.jpgうちには猫が二匹いて、白いのは「シロキチ」、茶色いのを「妹子」という。
ちなみに念のためにいっておくと、左が白いので、右が茶色いのだ。
シロキチの方がお兄さんで、妹子の方が妹。
名前の由来を説明すると、白いから、と、妹だから…というと半分本当で半分は嘘。
嘘は茶色い猫の名の由来である。
この二匹には、多くの共通点があって、一つはなんといっても驚くべきことに両方が猫だということだ。…
もう一つは、誕生日を知る人がどこにいるのか分からない。
初めての出逢い、場所は違えど段ボールの中であった。
シロキチは今でこそフテブテしいなりをしているが、当時は痩せ細り、ティーカップに入るほどの小ささであった。
はじめは、場所をとらなくていいと思っていた。
しかし、あまりにも食べない動かないで、さすがに心配になり病院につれていくことにした。
風邪をひいていたのだ。
「連れてきてくれて、よかったですよ」
ほっておけば死んでいたと医者は言うのである。
危うく殺してしまうところであった。
妹子との出逢いのきっかけは、生徒が
「橋の下に捨て猫がいるんだけど…先生…」
というノリである。
そう、こいつはなんと橋の下で拾われてきたのだ。
シロキチが
「やーい妹子、お前は橋の下で拾われてきたんだよ」
と意地悪のつもりでいって、
「お父さん!嘘だよね!?」
と妹子に迫られても、シャレにできない。
妹子の第一印象はモップ。
ただただムクムクで、大きかった。
顔が毛のなかに陥没してしまい、横にうまく向けない。
後に、ただ毛があるだけで本体は小さかった、と判明するのだが、それはまた別の話。
捨てられていたからしょうがないのかもしれないが、衛生状態がとても悪く、
おしりにウンコがじゃがいもみたいについていた。
猫は風呂を嫌がるが、問答無用、洗礼をくらわしてやった。
「ん?なんだ、このコリコリは?」
ウンコではない。
両脇に手を入れ、赤ちゃんだっこで腹が見えるよう掲げると分かった。
腫瘍?といったらいいのか肉片のようなものが体中に憑いている。
シロキチのこともあったし、急患だ!、と連れていきたいのはやまやまであったが、
夜も遅かったので、悪いとは思いながら次の日まで病院は我慢してもらった。
翌朝、病院が開く前に扉を叩き、医者を叩き起こし看てもらった。
「どうですか?」
医者は何も言わない。
「連れてきてくれて、よかったです」
とも言わない。
「そ、そんなに悪いんですか?」
と聞くと、おもむろにバリカンを取出し、
「ただの…毛玉ですね」
と言い、ウィーンと音をたてながら一つの毛玉を取って見せてくれた。
絨毯のようになっていて固いから間違ってもしょうがない、と笑いながらフォローを入れてくれたが、顔がカッカ、カッカ熱くなる。
昨日の夜、駆け込まなかったのがただ一つの救いだ。
負い目もあり、ついでもありで、尿検査、血液検査をしてもらうが、後に出た結果は全て良好。
「ただ、栄養が足りてませんね」
ということだ。
病院の後、生徒に見せたら喜ぶ喜ぶ。
「ねぇねぇ、名前、私たちがつけていいでしょ?」
うなずいたら、
「小野妹子!小野妹子でよくねぇ?」
「ギャグマンにも出てくるしね」
「小野妹子にしよう!」
決めたい!とか言いながら、授業でやってるとこからピックアップかよ…
結構適当に決めるのだな、と思いながらまんざらでもない。
ただ病院で、
「千石小野妹子ちゃん」
と呼ばれるのは勘弁なので、妹子のみとさせていただいた。
ミドルネームがついている猫なんて、嫌だ。
今でもシロキチがくしゃみをすると、喉に風邪薬を押し込んでやったときのことを、
妹子と呼ぶとき、バリカンの音と毛玉と、生徒の笑顔を思い出す。
そんなとき、知らず知らずのうちに笑っている自分を、これまたまんざら嫌いではなく思うのだ。


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