ブスとは

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■ ブスとトリカブト

『敬愛のこころ』という奥村秀雄先生の講演選集に載っていたお話です。
トリカブトってありますよね。
そう、あのアイヌ人が熊狩りに矢の先に塗って使った毒ですよ。
芋みたいになっているトリカブトの根っこを乾燥させて粉にしたものを0.4g口にしただけで20秒とたたないうちに人は死んでしまうそうです。
それとブスがなんの関係があるのか?
この粉のことを附子(ブス)というのですね。

■ 附子(ブス)とは

女性の顔を美しくないと罵る言葉である「ブス」と「附子」。
実は意外な共通点があって、それが面白いことに本物のブスとは何かを教えてくれました
その関係を明かす前に、附子についてお話させてください。
附子とはトリカブトで猛毒なんですが、漢方にも使われています。
メサコニチン、アコニチンなどのアルカロイドを含んでおりまして、鎮静剤・鎮痛剤などに用いられる劇薬だそうです。

■ 附子という狂言

この附子なんですが、狂言の曲目にもなっていまして、『沙石集』の説話を脚色したものだそうです。
どんな話かといいますと、主人が召使い二人に留守を頼むんですが、
(む…これを食べられてはうまくない…そうだ)
「これは附子という猛毒じゃ、決して食べるでないぞ」
食べるなと言われれば舐めてみたくなるのが人間の性。
二人は舐めてみます。
「なんだ…砂糖だぜ、これ」
ちょっとだけならバレまい…ちょっ
あっ俺もちょっと
今お前の方が多かったぁ!もう少し♪
ずっりー!俺も!!
どんだけ食べてんねん。
そうこうしてるうちに砂糖を平らげてしまった二人。
「ウマかった、けどまずい…どうする?」
「あっ!俺にいい考えがある」
そういってご主人様の大事にしている掛け軸を破り始めました。
「おっ、おい!」
「いいからいいから。ほらお前も♪」
どん
いきなり押されよろめいたところには
パリン
「あ~っ!ツボを割っちまった!砂糖だけじゃなくツボまで…お前どうしてくれんだよ!!」
「まあまあ、耳をかせよ」
「ほう…うーん…なるほどな」
「今帰ったぞ…こ、これはなんたる有り様じゃ」
わーーーーん
「泣いていてはわからん!説明せい」
「はい。留守を守るため、寝てはいけないと思ったのです、ぐすん」
「そう、それで私たちは寝ないようレスリングをしていたのですが、ぐすっ」
「気合いだあ!とやった瞬間掛け軸を破り、ご主人様の大事にしていたツボまで割ってしまって」
「死んでお詫びするしかないと…」
「二人で附子を舐め続けたんですが」
「こんなに舐めてもまだ死ねずにいるのです」
わーーーーん
というお話が狂言「附子」です。

■ ブスとは

お待たせいたしました。
本物のブスとはという話をしたいと思います。
この召使い二人が舐めたのが砂糖だったからよかったのですが、本当に附子だったとしたらどうなっていたんでしょうか?
附子をだんだんに与えていくと、頭の呼吸中枢がやられてきます。
するとだんだん表情が固くなってきて、喜びやら悲しみすら顔に出てこなくなるそうです。
無表情。まさにブスです。
表情の豊かな人は魅力が溢れています。素敵。
一方どんなに美人でもブスッとしている人は…ぶちゃいくですよね。
そう、本物のブスとは表情のない人のこと
裏を返せば、表情が明るく豊かであれば、みなモテモテの美人になれるんじゃないでしょうか?
ちなみに奥村秀雄先生は

【引用】これ『ブス』っていうのはそこから出てきたんかどうかはわかりませんけど
【出典】『敬愛のこころ』奥村秀雄先生講演選集
発行:秀泉会

■ 『ブスとは』まとめ

  • トリカブトの根っこを粉にしたのを附子という
  • 附子は猛毒で狂言の曲目にもなっている
  • 附子を徐々に与えると人は呼吸中枢がやられ、無表情になる
  • 「附子で無表情」→「本物のブスとは無表情」
  • 長い文、最後までありがとうございました。

    【出典】『敬愛のこころ~奥村秀雄先生講演選集』(秀泉会)
    【参考】
    『明鏡国語辞典』(大修館書店)
    『ブリタニカ国際大百科事典』

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