『天才バカボン』の同じ回が二つある理由

謙虚思考

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『天才バカボン』など名作の数々を生み出した赤塚不二夫さん。
赤塚不二夫さんのことをタモリさんは、

【引用】「あの人は人間的にすごく透明感がある」
【出典】徳間書店『バカボンのパパよりバカなパパ』P187 著:赤塚りえ子

と言っていたそうです。
透明感のある赤塚不二夫さんは、周りの大人を童心に帰し、楽しくさせてしまう力を持っていたそうです。
いつでも周りに笑顔で楽しむ人があふれている。
子ども頃は自分にもよくあった光景なのに、大人になってなかなかそういう機会にめぐりあいません。
なぜでしょうか…。
赤塚不二夫さんの周りに人が集まった理由は、マンガにも表れていたようです。

■ 赤塚マンガに背景が少ないわけ

【引用】以前パパに、「パパのマンガって背景あんまりないね」と言ったことがある。
「ちゃぶ台描けば家の中ってわかるし、電柱描けば外ってわかるから、それでいいんだよ。背景ないほうが、オレのマンガのキャラクターは生きるし、のびのび動くんだ」
と、パパは教えてくれた。
【出典】徳間書店『バカボンのパパよりバカなパパ』P187-188 著:赤塚りえ子

この言葉に深い意味はなく、そのままの意味なのでしょうが、パパのことをよく知る赤塚りえ子さんは、ここに赤塚不二夫さんの「ものの捉え方」が表れていると教えてくれます。

【引用】パパが、社会的な立場や関係性なんかを考えて人と付き合うことはない。どこの誰だとかそんなことはどうだっていい。あまりゴチャゴチャ言わない、説明しない。楽しければ一緒に遊ぶ、それでいいのだ。
【出典】徳間書店『バカボンのパパよりバカなパパ』P188 著:赤塚りえ子

大人になって、無駄に頭でものを考えるようになった僕は、「大人の付き合い」なんて言いつつ、
「どちらでお仕事をされているんですか?」
なんて、初めに相手の背景を探ってしまいます。
染み着いた癖といえばそれまでですが、どこかどこかで損得を考える心が自分の中にあるような気がしちゃう。
そういえば、童心に戻って楽しんだ、周りに笑顔の大人が集まった会に参加しました。
山田くん(仮名)の結婚式です。
彼の結婚式には、彼が小学校・中学校の頃、高校の頃、大学の頃の友だちが集まっており、みんながみんな山田のことを心から祝福しておりました。
その彼が衣装替えで席を外しているとき、各テーブルを回ったのですが、合い言葉は
「山田の友だちはエエ奴ばっかりや!かんぱ〜〜い!」
それだけで打ち解けました。
人が描く背景のほとんどは、いらないものなのでしょう。無い方が自分も伸び伸び動けるし、相手のことも生き生きとした形で、受け入れられるような気がします。
楽しければ、それでいい。なんと純粋な心でしょう。
これこそ童心。そんな気がいたします。
そういえば、結婚式で打ち解け友だちになった人の名前…一人しか覚えてへんな(笑)

■ 赤塚不二夫さんの謙虚さ

赤塚不二夫さんが、誰とでもそのような童心に帰って楽しめた理由の一つに、「謙虚さ」というものがあったようです。

【引用】「自分が最低だと思ってればいいんだ。みんなより一番劣ってると思ってればいいんだよ。そうしたら、みんなの言っていることがちゃんと頭に入ってくる。自分が偉いと思ってると、人は何も言ってくれない。自分が一番バカになればいいの。何でも言ってくれるよ」
【出典】徳間書店『バカボンのパパよりバカなパパ』P186 著:赤塚りえ子

謙虚な赤塚不二夫さんは、誰の話にも素直に耳を傾けたそうです。
マンガのアイデア会議には、アシスタントのスタッフだけでなく、編集者の人にも参加してもらったとか。
雑談から始まる会議の中から、
「それでいこう!」
と取り入れ決まってしまう。謙虚でないとできないマンガの作り方かもしれません。
分け隔てなく人と付き合える謙虚さが仕事にも表れていたのでしょう。
「自分も一緒に遊んでいいんだ」
そう思わせてくれる赤塚不二夫さんの周りに人が集まらないわけがありません。
きっと、僕なんかとも、赤塚不二夫さんは遊んでくれたんだろうな…と思ってしまいます。

■ 『天才バカボン』に同じ回がふたつある理由

赤塚不二夫さんの娘さん、赤塚りえ子さんは、こんなエピソードを紹介してくれました。
五十嵐隆夫さんという方が『天才バカボン』の担当をされていたそうです。
その五十嵐さんが、できたばかりの原稿をタクシーに置き忘れてしまった。
もの忘れの多い僕は、かなりこの状況がのみこめます。個人タクシーなんかに忘れちゃうともう大変。
連絡取れない、見つからない…
翌日には印刷所に原稿を渡さなければいけない状況で、五十嵐さんは顔面蒼白、赤塚不二夫さんのところに駆けて戻ってきたそうです。
事情を話し謝った五十嵐さんに、赤塚不二夫さんはどうしたか?

【引用】「ネームが残っているから、また描ける」
そして、失態を責めるどころか、五十嵐さんを元気づけた。
「まだ少し時間がある。呑みに行こう!」
パパは酒場でも、意気消沈している五十嵐さんを気遣ってギャグを飛ばしていたという。
帰ってくると、また何時間かかけて同じ原稿を仕上げた。
「二度目だから、もっと上手く描けたよ」
そう言って、原稿を五十嵐さんに手渡した。
【出典】徳間書店『バカボンのパパよりバカなパパ』P190 著:赤塚りえ子

赤塚不二夫さんの持っている元々の「謙虚さ」が、「やさしさ」や「相手への愛情」という形に変わって表れたエピソードのような気がしています。
自分のことを「最低」と思える人は、相手の失敗を許すことができるのでしょうね。
僕などは、まだまだ謙虚さが足りませんので、子どもの失敗にすら感情的になってしまい怒ってしまいます。
赤塚不二夫さんの偉大さ、あたたかさにふれ、見習いたいな…なんて考えています。
タクシーに忘れられた原稿の行方は、というと、フジオ・プロの住所が封筒に載っていたこともあって、一週間後に赤塚不二夫さんのもとへ戻ってきたそうです。
そしてその原稿を赤塚不二夫さんは…

【引用】「もう二度と同じ失敗を繰り返さないように、おまえが持ってろ」
パパは戻ってきたその原稿を五十嵐さんにプレゼントした。
パパが他界して一か月後、五十嵐さんがその原稿をわたしに返してくれた。
「センセイが亡くなってしまって、この原稿の役目も終わった」
あの日以来、三十五年間も、五十嵐さんはもらった原稿をずっと大切にしてくれていた。
どちらの原稿も、まったく手を抜かずとても丁寧に描かれている。パパのプロ意識、そして、五十嵐さんへの愛情がたっぷりしみ込んだきれいな原稿。
こうして今、フジオ・プロには『天才バカボン』の同じ回がふたつある。
【出典】徳間書店『バカボンのパパよりバカなパパ』P190-191 著:赤塚りえ子

赤塚りえ子さん、素敵なエピソードのご紹介、ありがとうございました。
赤塚不二夫さん、あなたのことが大好きです。
長い文章、最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。
あなたによきことが雪崩のごとくおきます。

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